ホーム » 相続税の基礎控除の減額による相続税の増加額の試算事例
事例1
(1)被相続人 甲 享年80歳
相続人 妻 乙 相続開始時点の年齢 75歳
長男 丙 〃 50歳
長女 丁 〃 45歳
(2)相続開始日 平成26年10月1日
(3)被相続人Aの相続財産及び債務
①普通預金 3,180万円
②終身保険の死亡保険金 3,000万円 受取人 配偶者乙
(内 生命保険金の非課税金額1,500万円)
③宅地A 更地(自用地)地積 800㎡ 相続税評価額 8,000万円
④宅地B 自宅敷地(自用地)地積 400㎡ 相続税評価額 6,000万円
小規模宅地等の特例
妻乙が、単独で宅地Bを相続するものとします。
この場合、特定居住用宅地等の課税の特例の適用を受けることができることによる、
宅地Bの評価減の価額は次の通りとなります。
6,000万円×240/400×0.8=2,880万円
小規模宅地等の特例適用後の宅地Bの課税価額 6,000万円-2,880万円=3,120万円
⑤居宅C 木造二階建て(宅地Bに建築)
床面積 200㎡ 相続税評価額 1,000万円
被相続人甲と妻乙の二人のみで、居住していた。
⑥債務 なし
(4)被相続人の課税価格の合計額 16,800万円
(5)遺産に係る基礎控除額 5千万円+法定相続人3人×1千万円=8千万円
(6)課税遺産総額 (4)-(5)= 8,800万円
(7)相続税の総額
妻乙の法定相続分に応ずる取得金額 4,400万円
妻乙の相続税の総額の基となる税額 680万円・・・ア
長男丙の法定相続分に応ずる取得金額 2,200万円
長男丙の相続税の総額の基となる税額 280万円・・・イ
長女丁の法定相続分に応ずる取得金額 2,200万円
長女丁の相続税の総額の基となる税額 280万円・・・ウ
相続税の総額 ア+イ+ウ=1,240万円
事例2
(1)事例1と同じ
(2)相続開始年月日 平成27年1月1日
(3)被相続人Aの相続財産及び債務
小規模宅地等の課税価格の計算特例
平成27年1月1日相続分から特定居住用宅地等の適用面積が240㎡から330㎡に拡大されます。
事例1と同じように、妻乙が、単独で宅地Bを相続するものとします。
この場合、特定居住用宅地等の特例の適用を受けることができるため、
宅地Bの評価減の価額は次の通りとなります。
6,000万円×330/400×0.8=3,960万円
小規模宅地等の特例適用後の宅地Bの課税価額
6,000万円-3,960万円=2,040万円
その他の相続財産と債務は事例1と同じとします。
(4)被相続人の課税価格の合計
16,800万円-(3,960万円-2,880万円)=15,720万円
(5)遺産に係る基礎控除額 3千万円+法定相続人3人×600万円=4,800万円
(6)課税遺産総額 (4)-(5)=10,920万円
(7)相続税の総額
妻乙の法定相続分に応ずる取得金額 5,460万円
妻乙の相続税の総額の基となる税額 938万円・・・ア
長男丙の法定相続分に応ずる取得金額 2,730万円
長男丙の相続税の総額の基となる税額 359.5万円・・・イ
長女丁の法定相続分に応ずる取得金額 2,730万円
長女丁の相続税の総額の基となる税額 359.5万円・・・ウ
相続税の総額 ア+イ+ウ=1,657万円
結論
相続税の基礎控除の減額による相続税の増加額
1,657万円-1,240万円=417万円
ただし、妻乙が(4)課税価格の合計額の1/2を相続した場合には、配偶者の税額軽減額が、事例1では、620万円となります。また事例2では828.5万円となります。このため、相続税の納税額の実際の増加額は、417万円の1/2の208.5万円となります。